2008年12月29日

コミック感想 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 18 ―ララァ編・後―

 でました 18 巻、待ってましたよ〜。
 今回の舞台はテキサス・コロニー。
 オドロキの改編が加えられ、実に壮絶な死闘編となりました。

過去感想→1617

【ネタバレ注意!】




 まずはタイトルにつっこまざるをえますまい!
 ララァ編って、ララァの話ぜんぜん終わっとらん!
 つーかこっからが本番でしょうに!(笑)

 しかしそのララァ、冒頭から目が怖い。

「大佐が 忘れさせて

 くださんたんでしょう?」

 って、完全に目がイッちゃってます。
 ララァ=ヤンデレ説が急浮上してまいりました。

 それはそうと、昔からララァは ノーパン説 というのがありましたが、今回安彦先生が凄いサービスをしてくれちゃいましたね!(爆)

「ここではステップは禁物だぞララァ」

 無重力エリアに来たことを注意するシャアですが、マリガンの後ろでララァがふわ〜〜〜っと――

 見える! 私にも見えるぞ!!!!
 こ……これは、やっぱり履いてません!!
 どー見てもパンツの線が見当たりません!!
 安彦先生ありがとう!!(爆)

 ちなみにララァが後半戦、車両から出ようとするのを止めようとした男性研究員。
 「あ」 「あ」 とか言ってその後倒れてますが、鼻血吹いているようにしか見えません!
 安彦先生確信犯ですね?(笑)

 
 そしてオドロキの展開は、ここでなんとシャリア・ブル登場!!
 まさかテキサス・コロニー内でブラウ・ブロと戦うことになるとは思わなかった。
 しかもテキサス・コロニー独特の視界の悪さを利用して、無視界戦闘におけるニュータイプの絶対優位性を利用してくるとは。
 ここはテレビ版ではマ・クベがイヤらしい戦いをしかけてきたところですが、マ・クベがあのゲロカッコイイ死に様を見せ付けてくれたあとで、なかなか素晴らしい代打の登場でした。
 しかも、シャリア・ブルってあまりテレビ版でも印象がなかったんですが、ちょっと覚えているところだと、ギレンとの会話シーンなどがあったりして、少し政治家的な部分のある、大人な人だなァってなくらいの印象だったんですね。
 ところがどっこい、安彦版シャリア・ブル。なかなか熱い戦士じゃないですか。
 闘志丸出しでホワイトベース部隊に猛然と襲い掛かり、ガンダムに意地になって食いついてくる。
 その意地になっちゃったところが、ニュータイプとしてダメだったのかもしれませんが、なんだか逆に好感が持てました。
 でも、最期のセリフはちょっとどうかと。
 たしかにシャアや周りの人はシャリア・ブルを相当に買っているようですが、ちょっと恨みがましく、女々しい感じになっちゃいましたね。
 そこに大きすぎる自負というか、自意識過剰な感じを受けてしまって、なるほど、シャリア・ブルはだからララァに負ける存在だったのかもなぁと、そう思いましたよ。
 ニュータイプとしては、我が勝ちすぎていたのかもしれませんね。
 ニュータイプって、「誤解なく分かり合える人たち」 のはずですもんね。
 ララァに張り合おうとしている時点で、ニュータイプとしては半端モノなのかもなぁと。

 ところでブラウ・ブロ!

 モノアイがついとる!!

 たしかにモビルアーマーとしては異色のデザインでしたが、モノアイがついたことでちゃんとジオンのモビルアーマーらしくなってます。
 さらによく見ると、全体のシルエットこそ変わっていないものの、デザインは大幅に変更されて、ゾックのような、ビグザムのような、とてもジオン的な流れを汲んでいることがわかるようになっているんですよね。
 さらにブ厚い装甲が剥がれてからの、ちょっとグロテスクな細身スタイルもなかなか。
 一種のキモカワイさ素晴らしい。
 これは大胆なデザイン改良だなぁ〜と、嬉しくなっちゃいました。


 その間、スレッガーさんが今回は美味しい。
 意外にも、 ガンタンクオタ であることが発覚(爆)。
 
「見くびるなガンタンクを!!
 こいつの前面装甲はね艦砲でだって抜けないのサ」
「連射性能だってナメちゃダメよ!
 24発/min!
 アナハイム社製最新七九型の威力 見たかあっ!!」


 いや〜スレッガーさん面白れェ。
 まさかこんなキャラだとは思わなかった。

 しかしその後はさすがスレッガーさん。
 取り付いてきたザクを急後退で崩し、ブーストダッシュで逆に組み付き、岩壁にたたきつけてのゼロ距離射撃!!
 こりゃもう鼻血モノのカッコよさ!
 間違いなく逆ヨガフレイムコマンドからの投げ技ですね(笑)。
 かつてガンタンクがここまでカッコよかったことがあったでありましょうか(笑)。
 輝いてるぜガンタンク!
 後部デッキにある 「場所ふさぎ」 にしとくのは宝の持ち腐れですって!
 こりゃビグザムに特攻するのはガンタンクで決まりですねスレッガーさん(爆)。


 そして後半は、シャアのゲルググが、ガンダムにまさかの圧勝!!
 アムロのガンダムは既にエネルギーが残りわずかだったということもあるでしょうし、アムロの操作がガンダムの反応を遥かに超え始めたってこともあるかもしれませんが。
 しかしこのシャアの面目躍如は気持ちよかった。
 原作ではシャアはここでもコックピット近くにダメージを負って撤退してましたからね。
 考えてみるとガンダムに負けっぱなしか、あるいは痛み分けのシャアですが、ここで決定的にシャアに軍配が上がったってのは、やっぱりライバルとしてはこうでないとって思います。

「“ニュータイプ”が『人の革新』の証なら!
 スペースノイドの選ばれた者がアースノイドを制するというのなら!
 父ジオン・ズム・ダイクンの遺したそのテーゼが正しいというのなら

 私が 私こそが

 正真のニュータイプでなくて

 どうするっ!!!


 いい男は自意識過剰でも許される。
 そこがシャリア・ブルとの差というものでしょう(笑)。
 いや〜シビレル。
 さらに勝利に高揚したのかシャア、その興奮のまま半ば野生化した白馬をとっつかまえて飛び乗る荒業。
 もうテンション上がりまくってますな(笑)。

 しかし、そのテンションのままでセイラと再会したものだから、期せずしての大演説(笑)。
 これはなんだかちょっとイタいというか、なんかセイラさんがかわいそうにしか見えなかった。
 つか、シャアが痛い人に見えなかったのはたぶん 「ガンダムさん」 とかトニー・たけざき先生が悪いんだなきっと!
 あのダメシャアばっかり見たあとだと、大演説をぶってるシャアを見るだけでプッと吹いちゃいます(笑)。
 これはたぶん、私がダメなパブロフ状態なんでしょうね。


 それはそうと、あの過去回想編がここでこうまとめられて綺麗に回収されたのは美しかったですね。
 テキサス・コロニー育ちの彼らが、昔暮らしていた家があるからそこで再会できてしまうっていう必然性も大きいですし、なにより二人の運命の流れがここで分かれて、そしてここでまた交錯したってのが美しい。
 また驚いたのは、シャアの復讐の目的が父の敵討ちではなく、母の敵討ちだったということ。
 これは過去編をやったからこそ理解できる話ですし、また 『逆襲のシャア』 では 「ララァは、私の母になってくれるはずの女性だった」 と言うシャアって、やっぱマザコンの気があったのかもなぁ〜って思いましたね。
 なるほど、そうだったのか〜と。
 これは安彦流の新解釈なんだと思いますが、とても腑に落ちるものがありました。


 ラストシーンは、自室謹慎を言いつけられたセイラさんが、壁にもたれかかり、ゆっくりとベッドに倒れてゆくあの名シーン。
 このゆっっっくりとした倒れこみ方が、アニメ版そのままの動きの再現度で感動。
 安彦漫画の真髄を感じました。
 動きの中に現われてくる 「心身ともにボロボロ感」 があまりに哀れです。
 さらに、過去回想編があれだけじっくり描かれたことでこのシーンにかかってくる重みがまったく違ったものになってきているってのも大きいですね。
 過去編は過去編でとっても面白かったのですが、あれのおかげで今のドラマに豊かな厚みが加わっているんだなァと感じました。
 セイラもシャアも、あの過去があるからこそ今があるんだなぁ〜と。
 そして、なおさら今の人間ドラマが哀しく見えてきて、今回は過去編の影響をとてもクッキリと感じさせられた一冊でした。


 さぁ次はいよいよソロモン編?
 あの熱い安彦版ドズルに大期待です!
 そしてガンタンクオタ発覚のスレッガーさんは、ガンタンクで特攻しちゃうんでしょうか!
 哀しいけどこれ、ガンタンクなのよねって!!







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