2008年12月12日

コミック感想 ONE PIECE 巻五十二 “ロジャーとレイリー”

 表紙は、レイリーさんを囲む麦わら一味勢ぞろい。
 この巻のこのタイミングで勢ぞろいとは、尾田っち上手いなぁ〜。
 ……なんだけど、その裏を見てびっくり!
 なんだこりゃ!
 パンダマンはじめ、イタズラ系キャラクター勢ぞろい?
 尾田っち、どうした!?

過去感想→ 四十七四十八四十九五十五十一
スカルジョーク集→ イッツ・スカルジョーク!!


【ネタバレ注意!】



 天竜人をブッ飛ばしてしまったルフィ。
 このとんでもない暴挙に会場は騒然となるが、麦わら一味の面々には動じたところがこれっぽっちもないってのがすばらしい。

 ゾロは、「お前がぶっ飛ばしたせいで」 ときて、「大変なことになっちまったじゃないか」 などと言うかと思わせておいて、「………斬り損ねた………」 ってかっこよすぎ(笑)。
 ナミはナミで 「…まー ルフィだから仕方ないわ!!」 と、こちらも平然。言葉とは裏腹に喜んでいるようにすら聞こえてきます。いいね〜、姐御いかすぜ!
 サンジも、フランキーも、チョッパーも、まるで変わったことなど起きていないように平然と事態に対処していきます。
 いいなぁ〜この一蓮托生感。
 最高にカッコイイ。
 長い航海のなかで培われてきた強靭な結束と、厳しい闘いの中で鍛えられてきたぶっとい豪胆さといったところでしょうか。


 海軍に囲まれた会場から脱出するため、ルフィ、キッド、ローが3人揃い踏み。
 これがまたたまらない。
 それぞれの鍛え抜かれた能力の炸裂ってのもかっこいいのですが、それぞれがお互いを対等なライバルだと認めていく課程がすごくいい。

「もののついでだ
 お前ら助けてやるよ!
 表の掃除はしといてやるから安心しな」


 というキッドの言葉にカチンときたルフィとローが、まるで子供の意地の張り合いのようにして始まった共闘戦線。
 そういう下らないことのようでも譲れないのが男のプライドってもんです。
 こそばゆいくらいかわゆいじゃないですか(笑)。
 そして、いざ闘いが始まってみれば、それぞれ異常な能力が炸裂。
 どれもお互いひけを取らない強烈な能力と。
 ローの、相手をバラバラにしてメチャクチャに組み替えちゃう能力は凶悪だ。
 こういうのはルフィやゾロとかの剛タイプの戦士にとっては相性が悪いでしょうね。
 またキッドのマグニートーばりの磁力能力もかっこいい。
 金属を吸い寄せ、合体させて巨大な手を作っちゃうこの絵がたまらなく好きです。
 おのおのがここまでの航路で鍛えぬき、ルフィと同じように様々な試練を乗り越えながら成長してきたんだという歴史が容易に想像できてしまうシーンです。
 しかも、みんな奥の手は封印したまま戦っていることまでヒシヒシと伝わってきます。
 いや〜カッコええ。
 今までルフィには対等のライバルってのはいませんでしたからね。
 このグランドラインの半ばにさしかかって、ようやっとそういうライバルが登場したんだなァと、嬉しくなってしまいます。

 しかも、強さばかりではなく、志までも似通った部分があるんですね。

「次に出食わした時は容赦しねェ………!!」

 と言うキッドに対し、

「………ふーん でも
 「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」はおれが見つけるぞ!!!」


 と、ルフィはさも当たり前のように宣言して見せます。
 それに、何を思ったか、キッドはしばし沈黙し、

「おれ達の通って来た航路じゃあ…そんな事口にすると大口開けて笑われたモンだ
 その度におれは…笑った奴らを皆殺しにして来たがな……!!
 ――だがこの先は…それを口にする度胸のねェ奴が死ぬ海だ…!!
 “新世界”で会おうぜ」


 なんかもうこのセリフには、無性に興奮させられてしまいました。
 これはもう、最高のライバル認定宣言ですって。
 譲れない敵同士であるとともに、同じ炎を胸に抱いた同志でもあるんですね。
 それをお互いにしっかと認識しあったってのがすごくいい。
 なんだかそれが3人とも嬉しくってしょうがないような、そんな印象すら受けてしまって、それがまたこちらも妙に嬉しくなっちゃいます。
 いいなぁ〜、こういう認め合うライバルたちってのは。
 このふてぶてしい男たちが、新世界でいったいどんな物語を繰り広げることになるのか。
 これは楽しみで仕方ありません。
 震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!っすよ(笑)。


 個人的には、キャラクターとしてはローが好きだなぁ〜。
 天竜人の奴隷にされていたキャプテン・ジャンバールを解放して仲間にってのも若きカリスマって感じで良かったし、それでいながら 「――半分は “麦わら屋”に感謝しな………!!」 っていう度量の大きさも素晴らしい。
 ルーキーズのなかで頭一つ抜けた感じがします。


 そして、冥王シルバーズ・レイリーの口から語られる、ゴール・D・ロジャーの真実。
 残り短い命を燃やしつくし、処刑のその日を大海賊時代の始まりの日にしてしまったというとんでもなさにシビレました。
 でも、それ以上に、レイリーさんの語り口が泣かせるじゃないですか。
 
「あの日ほど笑った夜はない…!!
 あの日ほど泣いた夜も…
 酒を飲んだ夜もない……!!
 我が船長ながら…見事な人生だった…………!!!」


 これはたまらず目頭が熱く…。
 年取った人のこういうセリフは深みがあって余計に泣けますわ〜。
 哀しみと喜びと祝福と歓喜と、いろんなものがゴチャゴチャになったレイリーさんの一夜の酒が目に浮かんでしまいます。

 ほかにもレイリーさんの語ったことは、今後大きなキーとなりそうなことばかり。
 歴史の謎や、ロジャーと同じ事を言ったというルフィのセリフとはなにか……など。
 またまた大きな伏線を張ってくれたんじゃないでしょうか。 


 一方、大将黄猿ことボルサリーノが登場!
 えーと、若い人は分かりますか? 田中邦衛さんですよ(笑)。
 大将登場で島は大混乱の渦。
 傍若無人なまでの黄猿の強さに、ルーキーたちも翻弄されてゆきます。
 しかしルーキーたちも一方的にやられているだけじゃないってのがいいですね〜。
 それぞれが極めた能力の持ち主で、けっしてカマセ犬に落ちないぜって言わんばかりの意地を見せつけてくれてます。
 でも海軍側はそれ以上なんだと。
 黄猿の反則的な強さに加え、まさかのバーソロミュー・くまソックリの生体兵器(?)登場。
 これは絶望的だ。
 このあたり、どちらかを弱くして勝負を見せるわけじゃなく、圧倒的に強いもの同士の戦いっていう感じが良く出ています。
 それぞれがこの海を生き抜いてきた精鋭なんだってことが良く分かるんですね。
 いや〜大興奮の展開ですよ。


 そして、ラストは怒涛の麦わら一味ピンチ敗走展開。
 初手から本気の連続攻撃で、やっとの思いで偽くまを倒したと思ったら、またもくまが現われ、さらに加えて新手の戦桃丸、そしてそして、悪夢の黄猿降臨!!
 これはもう最悪の展開です。
 これまで麦わら一味も 「敵わねぇッ!」 って場面は何度も遭遇してきましたが、ここまで絶望的な遭遇もなかったでしょう。
 トドメを刺されそうになるゾロを、あわやというところでレイリーさんが割り込んで助けてくれましたが、絶望的な状況が好転したとは言えず。
 頼りのルフィはなぜか戦桃丸に攻撃を跳ね返され、さらには一方的に“打撃”でダメージを負わされる理解不能さ。
 フランキーがやられ、サンジが倒れ、ウソップも撃たれ……さらにヤケクソのチョッパー暴走が終末感を煽り立てます。
 さらにダメ押しとばかりに、ここで本物のくま、登場!!!
 ゾロ、消滅!!!

 いや〜演出がキレまくってる。
 まさに衝撃の展開とはこのことですね〜。
 前の巻から引き続き、どんどん盛り上げてくれますよワンピース。
 片や世界は、海軍&王下七武海 VS. 白ひげ の大戦争を直前に控え、シャボンディ諸島では未曾有の大混乱。
 麦わら一味はかつてない窮地に陥ってしまいました。
 さぁいったいどうやったらこの広がりまくった大風呂敷が畳めるんでしょうか。
 私なんかにゃ想像もつきません。
 完全に尾田先生の掌の上でゴロンゴロン弄ばれていますね。
 でもこの感触が快感でたまりませぬよ(笑)。


 ジャンプで読んでる私としては、次の話でこの巻が終わったほうがキリがよかったんじゃないのかな? とは思いました。
 尾田先生はそういうキリの良さで、一冊に乗せる話を 10 話にしたり 11 話にしたりするそうですからね。
 でも、“アレ”だとさすがに地獄のヒキ過ぎちゃうかな?
 ……な〜んてちょっと意地悪いほのめかしをしてみたり(笑)。
 次の巻もメチャメチャ面白い展開してますぜ〜ッ。


 それはそうと、今にして思えばこのあたりの話は、ルフィは決して特別な存在じゃないんだよって事が、裏のメッセージだったのではないでしょうか。
 そんなことを思ってしまいましたよ、この展開は。
 対等なライバルが出現し、お互いを認め合い、また同じように厳しい航路を生き抜き、己を鍛え抜いてきた猛者たちが、大将クラスによって力及ばず倒されてゆく。
 ルフィたちは今まで唯一無二のヒーローとしてグランドラインを勝ち昇り、世界政府のエニエスロビーですらあざ笑ってきました。
 でも、今後もそういうようには行かないよと。
 ルフィたち一行は、決して最強のヒーローではなく、他にも同じような力を持った大型ルーキーくらいいっぱいいて、それこそ掃いて捨てるくらいいっぱいいて、今も倒されて捕まってしまっていたりして。
 ルフィ以上の力を持った海軍大将は依然として君臨しているし、偽くまや戦桃丸と言う、今までは想像すらしなかったとんでもない奴だってゴロゴロいるんだと。
 決してルフィたちは特別な存在じゃなく、この先の航路はとんでもないサバイバルの連続になるんだよと。
 そういうことを物語っているように見えてしょうがありません。
 このシャボンディ諸島編は、当初は魚人島に行くためのちょっとしたミニイベント編だとばかり思っていましたが、いやいやとんでもない。
 グランドラインの半ばを超えるための大きな転機であるとともに、ルフィたちにとっても巨大な転機が訪れているように思えてなりません。
 いや〜面白れぇなぁワンピは!!



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posted by BOSS at 22:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一割引きになるので大学生協で新刊予約したんですけど未だに確保すら出来てないです(笑)
なんでも「売れ筋過ぎて提携店でも在庫が確保出来てない」とか…数日でミリオン突破は伊達じゃねぇ!!(泣)
Posted by 地方民 at 2008年12月13日 13:29
 さすが生協!
 マンガ本まで1割引とは知らなかったですよ(笑)。
 早く手に入るといいですね。
Posted by BOSS at 2008年12月15日 22:14
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