2008年11月26日

コミック感想 風光る 25

 新選組の紅一点、セイの活躍を描く 『風光る』 最新刊であります。
 表紙は夜の辛夷(コブシ)を眺めてるっぽいセイと沖田さん。
 この画面の暗さはどうやって出してるんだろう。

過去感想→23 , 24

【ネタバレ注意!】



 まずは表紙裏の作者コメントにちょっと驚き。

「物語もかなり終盤に来てるし、28巻まで続くかな…?」

 って、そこまで終わりが近いとは思いもしなかった。
 幕末についてはまったくもって勉強不足な私ですが、『篤姫』 を見ていますから大体のことは分かります。
 このぶんで行くと、クライマックスはアレで、アレがあったらすぐオシマイってことなんですかね〜。

 ところで、この間テレビでやってたんですが、沖田さんは実は結婚したっていう説があるんですって。
 どこだかに沖田さんのお墓があるんですが、その横には寄り添うように女性のお墓があったんですって。
 実際はともかく、『風光る』 ではそれがセイだったらいいですよね。
 そういう綺麗なまとめ方になるといいなぁ。


 前回からの引き続きで、前半部分は土方さんの回想編。
 天然理心流に入りたいくせに入ろうとしない土方さんがまた土方さんらしい屈折ですね。
 それを無理矢理決闘に持ち込んで引き入れてしまう沖田さん。
 う〜ん、この頃は結構頭が回るじゃないですか(笑)。
 というか、コトが近藤さんや土方さんに限っては頭が回るのか(笑)。

 あと、久々登場の山南さん!
 おなつかしゅう!
 なんかわかんないけどホロリときた。

 しかし、そんな微笑ましい日々も長くは続かず、家の事情で必死に働く土方は、その疲れからか労咳を発症。
 なるほど、労咳をわずらったものの家族までが差別される傾向が強かったというのはリアルなエピソード。
 だからこそ誰にも秘密にしてただ 「大病」 と偽ったと。
 ナルホド江戸時代の村社会ではさもありなん。
 こういう勉強ができるのも風光るの面白いところですね。

 重篤な病床で、生きることを諦めようとする土方さんを救ったのは、やっぱり近藤さん。
 これは胸にグッときた。
 この男二人の熱い絆はこういうところから生まれてきたんですね。
 いつでも体当たりに正直な近藤さんと、ヒネクレ者だけど根は一本気な土方さん。
 やっぱりお似合いのカポーだなぁと(笑)。

 
 中盤は新選組勘定方の横領事件。
 犯人の小川が最初から怪しかったり、切腹をおおせつかる河合の士道不覚悟ぶりが最初から目に余ったりと、今回はちょっと読めた展開ではありましたが、回想編の直後にこの厳しい土方裁きを見せられるってのはまたクるものがります。
 そのぶんちょっとセイが割りを食って武士らしさを忘れたように人情に走っちゃいましたね。

 新選組の金を預かる勘定方が、50両という大金を盗まれたという時点で既に切腹は決定です。
 それをたとえ縁者が金持ちだからって、家族に補填させたとしても切腹は動きません。
 武士は損得で切腹するのではなく、己の至らなさゆえにその責任を取って切腹するのですから。
 むしろ、これまでの公私混同に気づかないところが致命的です。
 あるいは、河合としては50両の消失が発覚した時点で土方に報告し、犯人を命に代えても捕まえると武士らしく言っていれば、切腹はなかったかもしれませんね。
 たとえそれでも自分から切腹すると言って見せるのが武士というものだと思うのです。

 土方の切腹命令は、現代の価値観なら理不尽にも見えますが、ちゃんと理にかなったものです。
 士農工商の農工商を支配し、搾取する代わりに命がけでその上に立たなければならないのが武士です。
 少しの失敗でも切腹してみせなければ、黙って搾取されている農工商は納得がゆきません。
 それが支配するものとしての武士のケジメのつけ方なのです。
 しかし、徳川幕府も300年近く続き、武士社会は腐敗しきってしまいました。
 その腐敗の時代に、農民出ながらも愚直なまでに武士の原点を行こうというのが新選組なのです。
 その中にありながらの、この士道への理解のなさはダメすぎる。
 しかも新選組の金を一手に担う勘定方でのミスはどんな小さなものでも致命的。
 一見いい話に聞こえる1、2両程度なら日常的に都合していたというエピソードも、実はとんでもない公金横領です。

 そこに考えが至らなかったセイは、ちょっと今回は残念でしたね。
 でも、まぁしょうがない。図らずも自ら言ってるとおり、「私だって年頃なんですから」 なんでしょうね。
 まだまだ修行が足りんなぁセイよ。
 しかしセイも、そんなコト言ってごまかすたぁ、恐ろしいワザを身に着けたもんだ。
 沖田さんも身が持ちますまいて。ご愁傷様だ(笑)。

 
 後半は、土方さんの心遣いで美雪太夫を身請けできた近藤さんのハッスルタイム(笑)。
 襖越しの近藤さんの声に盛大に噴いてしまった(笑)。
 ところがどっこい、美雪太夫にはなにやら秘密があるようですが、はたして。
 また近藤さん、損な役回りかな?


 今回のオマケ漫画は、火打石とか火口箱について。
 おー、これは面白い。
 よく時代劇に出てきますが、実際どう使うのかなんて考えたこともなかった。
 中世ファンタジーでも火口箱って出てきますが、西洋でもだいたい一緒なんですかね?
 こういうところにひたすらこだわっちゃう渡辺先生もえらい先生だなぁと。
 まぁ、漫画ですから、絵でヘタな嘘はつけませんからね。
 大変な労力でしょうね〜。


 さぁ、作者予定ではあと3巻で完結?
 どんなクライマックスが待っているのか、とても楽しみです。



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posted by BOSS at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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