2008年08月18日

映画感想 バットマン ビギンズ

満足度84点フジテレビ 金曜プレステージにて)
 続編の 『ダークナイト』 日本公開にあわせてフジテレビが放送。
 ダークナイトがアメリカでものすごい好評らしいので、とりあえずチェックしておくかと録っておきました。
 これは確かに続編が観たくなる。



 長びく不況に希望を失った大都市ゴッサムシティを、大規模な都市開発計画で復活させようとする大富豪がいた。
 その大富豪の一人息子ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、両親を目の前で強盗に殺されてしまう。事件の原因は自分の恐怖心だったと、自らを責め続けるブルース。
 青年に育ったブルースは、悪を懲らしめるため、影の同盟という謎の組織に導かれて、ヒマラヤの山奥で忍者のような戦闘技術を学ぶ。
 しかし、影の同盟の目的がゴッサム・シティの破壊だと知ったブルースは、同盟とたもとも分かち、故郷を守り、悪漢を懲らしめるためにバットマンとなる決意を結ぶ。
 だがそれは、彼の長く辛い戦いの日々の幕開けだったのだ。


 バットマンの映画と言えば、ティム・バートン監督『バットマン』(1989年作品)から始まる一連のシリーズが非常に印象深かったのですが、今回はそれとはイメージを一新し、より現代的に、より現実的な風景を描き出しています。
 内容も前作までの展開とは切り離し、設定も若干変えて原作により近づいたらしく、新たにバットマンの誕生から描きなおす形です。
 バットマン誕生秘話を、丁寧になぞってゆくのがまず面白いところ。
 動機に始まり、修行、自立。
 そして協力者を得て、衣装や武器、バットモービルを得てゆく過程がやたらと面白い。
 まさかバットマンの耳が中国製だったとは(笑)。


 今回は、子供向けのヒーローアクションものというより、ハードなサスペンスアクションといった雰囲気。
 翼を広げた滑空シーンや、コウモリの大群と一緒に飛び降りるシーン、新型デザインのバットモービルで町中を駆け巡るシーンなど、そりゃもうやたらめったらにカッコイイのですが、それらがあくまで味付けに収まっていて、あくまでメインは主人公たちの心理的な葛藤という趣。
 ブルース・ウェインのいたたまれないトラウマは胸を打ちます。


 渡辺謙出演ということで、けっこう話題となりましたが、いやいやかなりのチョイ役です(笑)。
 謙さんも活劇シーンがあってかなり頑張っているのですが、いかんせん扱いが小さすぎたかも。
 あと、できたら吹き替えは謙さん本人にやって欲しかった。
 謙さんよりかなり印象的だったのが、中ボス的存在のスケアクロウことジョナサン・クレイン(キリアン・マーフィ)。
 ギャングと裏で手を結ぶ憎ったらしい悪徳医師なんですが、ボロギレマスクをつけて恐怖を引き出すガスを噴射し、催眠術をかけるように強圧的な声を出すところがなかなか。
 ガスを吸い込んでしまったバットマンに、

「どうした、深刻そうな顔をして」
「オレが思うに、もっと明るくしたほうがいい」


 と言いつつバットマンを火ダルマにするあたり、最高にシビレます。
 こういうブラックジョークってなかなか日本人には出せない味ですよね。
 また、こいつのラストもそれはそれでなかなか。

 魅力的なキャラクターといえば、脇をかためる役者陣がすばらしい。
 ブルース・ウェインの執事アルフレッドにマイケル・ケイン
 ブルースを化学面や技術面で補佐するフォックスにモーガン・フリーマン
 そしてブルースと協力して悪に立ち向かうジェームズ・ゴードン警部補にゲイリー・オールドマン
 もうこういう脇の充実っぷりを見ているだけで幸せ。
 いやいや、今回のバットマンはいいスタッフを集めました。


 しかし、今回のバットマンの何が面白かったって、そのムチャクチャな正義の暴走ッぷり。
 ひとりの人間を救うためなら、屋敷を爆破しようが、ビルの屋上や他人の家の屋根をめちゃめちゃにしようが、パトカーや高速道路をふっとばそうが、そんなの関係ないと言わんばかりのつっ走りぶりです。
 アルフレッドの言うとおり 「あれで死者が出なかったのが奇跡ですよ」 です。
 このバットマンの、あまりの迷いのなさに大笑いというか、むしろ気持ちがよくって喝采したくなりました。

 今回バットモービルが戦車みたいに物凄いパワフルなデザインになっちゃった原因は、このあたりにあるんじゃないでしょうか。
 以前の繊細なデザインじゃ、そこまでパワフルな破壊はできませんからね(笑)。
 意味もなく操縦席が変形して銃撃モードになったり、ステルスモードがついてたり、相変わらず遊び心満載。
 斬新過ぎるかもだけど私は好きですよ、この新モービル。

 対決自体は殴り合い主体で意外と地味だったりしますが、随所にド派手な仕掛けが施されてて見ごたえ十分。
 ラストの引きも続編への期待をいやおうなしに盛り上げてくれます。
 これは 『ダークナイト』 も観に行かナイト。
 ……おあとが宜しい様で(笑)。



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posted by BOSS at 22:10| Comment(0) | TrackBack(3) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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