2008年07月12日

映画感想 グエムル -漢江の怪物-

満足度75点J:COM オン デマンドにて)
 ケーブルのデジタル放送 J:COMオンデマンドで無料配信されていたので観てみました。
 無料配信とは素敵だ。
 韓国発の怪獣映画。
 違法廃棄物が原因で生まれた怪物が人々を襲う。
 真昼間から堂々と出現する怪物に唖然。これはいいインパクト。
 マニアが大好き、愛すべきB級映画史に、またひとつ素晴らしいタイトルが加わった。



 ソウル市内を流れる漢江(ハンガン)に謎の巨大生物が突然現れ、人々を白昼堂々襲い始める。パニックのなか、川べりで売店をいとなんでいたカンドゥ(ソン・ガンホ)は、娘ヒョンソ(コ・アソン)を自分の不注意から怪物にさらわれてしまう。
 数日後、失意のカンドゥの携帯電話が鳴る。それはヒョンソからの、切れ切れの助けを求める声だった。ヒョンソは生きている! 警察や軍に必死に助けを求めるカンドゥだったが、誰も話を聞いてくれようとしない。それというのも、怪物に接触したカンドゥは、未知の病原体に感染している可能性があるとして隔離されていたのだ。たしかにカンドゥはここ数日体調がおかしかった。はたしてさらわれたヒョンソの運命は。



 韓国という国がどういう目でアメリカを見ているのかとくと分かる冒頭部分。
 在韓米軍基地の薬品不法投棄が原因で怪物が発生するわけですが、あまりにあまりな投棄理由に、あきれるを通り越して噴き出してしまいました。
 どんだけ韓国はアメリカが嫌いなんだか。
 これがウケるのが今の韓国なんでしょうねぇ。
 いやぁ面白い映画を作る。

 悪役はアメリカのみならず、軍や警察、医師、金持ち、みんなダメなんですね。
 つまり権威あるものたちはみんな敵。
 この映画では、韓国の社会構造にも痛烈な批判の鉄槌を下します。
 本当に頼りになるのは貧しく持たざる者たちのみだと。
 ことあるごとに不満を爆発させて凄まじいデモ行進を繰り広げる韓国人のアイデンティティがこういうところにあるのかもしれません。
 なかなか興味深いものです。


 怪物が最初に出現するシーンというのは、どんな映画でもヒジョーにもったいぶって、体の一部だけとか、影だけとか、なかなか見せてくれないものですが、この映画ではまったくの正反対。
 実に拍子抜けするほどあっけらかんと出現しちゃいます。
 あの男らしい正々堂々っぷりには惚れた。
 しかも怪物は暗い所に出現すると相場が決まっているのに、白昼堂々と出現。
 全身くまなく見えちゃうわけです。
 見せないことで想像力を刺激して恐怖を煽り立てるとか、そんな姿勢はカケラもなし。
 どうだ見てくれ、俺ってば凄いだろ? って感じでストリーキングばりの露出。
 その上だだっぴろい河原を思う存分駆けめぐり、ハシャぎまくる!
 お前は久々に散歩につれてってもらえた犬っコロかと!
 この冒頭からのやりたい放題食い放題状態にしばし唖然。
 こんなの見たことね〜ッって感じでかなり楽しめました。
 まぁそれが成功しているかどうかは別にして、よそでは観られない演出としてなかなかに度肝を抜かれましたよ。


 娘を救い出そうと奮闘する親父がダメ親父というのも、他ではなかなか見ない特徴で面白い。
 普通こういう映画では主役は万能超人だったり、あるいは最初はダメでも最後のほうにはに立派になっちゃうのが王道ってもんですが、最後までダメ親父なりに頑張るというのが妙に可笑しくて同情を誘います。
 まだダメ親父の家族が織り成す人情家族ストーリーが中盤大部分を占めているのですが、中でもダメ親父のお父さんのパートがすばらしい。
 悲しいというか間抜けというかカッコイイというか、まぁ私は笑ってしまったのですが、 「残り一発の銃弾」 のシーンは最高のインパクトです。
 ホントやりたい放題の映画だなぁ〜と感心してしまいます。


 予告編やポスター、DVDパッケージなどで使われている、娘が怪物にさらわれる冒頭のシーンは非常によくできてます。
 上のアフィリエイトの場面ですね。
 たぶん本編を未見でもこの絵は見たことがある人が多いんじゃないでしょうか。
 へたり込んだ女学生服の女の子が、呆然とこちらを見る。背後から突進してくる怪物。一瞬のことで、父親はただなすすべなく見ているだけ。その目の前で少女の体は怪物にかっさらわれて・・・・・・。
 演出が冴えまくっててゾクゾクきます。
 ここだけ妙な完成度の高さで、本格ハリウッド映画レベルの凄いインパクトですね。
 娘ヒョンソ役のコ・アソンちゃんの素朴な可憐さもあいまって非常に印象的なシーンでした。

 逆に言うと他のシーンは全編ギャグなのかシリアスなのか安っぽいのか大掛かりなのかよくわからない荒削りさ。
 脚本も行き当たりばったりで至るところ説明不足な乱暴さ。
 怪物がのた打ち回るガス兵器のなかで、警官は血反吐吐いて倒れてるのに、主人公たちはなんでピンピン闘っとるんじゃ! とか、ツッコミどころ満載。
 ですが、その荒削りさと乱暴さとツッコミどころと、他の映画にはなかなか見ない作り手の冒険ぶりをむしろ歓迎する姿勢で観れば、これはなかなかに楽しめる映画だと思うのですよ。
 最初から本格映画バリには期待せず、話のネタのひとつにって感じでいかがでしょう。
 後々まで語られる、異形の珍品として観ておいて損はないと思いますよ。

 あと、妙にスルメと缶ビールが欲しくなった一本でした(笑)。
 いやぁタダなのに面白い映画を観てしまった!



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