『グイン・サーガ 外伝21巻 鏡の国の戦士』 栗本薫 ハヤカワ文庫 外伝ですら21巻というそれだけでも長編だっつーのなグイン・サーガですが、そんなことはまぁ何を今更な話ですね。
今回はグインを主役として、
外伝1巻「七人の魔道師」の後のエピソードを描く3話オムニバス。
本編では現在グインが放浪中ですが、こののちどうにかケイロニアに帰還し、しばらくして
「七人の魔道師」事件が勃発。そしてこの話へとつながるわけなので、読者の意識としてはだいぶ未来のお話。
当然先の気になる読者としては
「現在のあの人はどうなってるの!?」とか
「あのひとはまだ生きてるの!?」とかまぁいろいろ心配になって、グインらのセリフに聞き耳を立ててしまうというというオマケ要素つき。
ある種
未来の予言の書のような位置でもあるんですね。
また最近は
イシュトや
ナリスが主役だったり、グインが主役でもほとんど本編と変わらない(むしろ本編でやったほうがいいんじゃない?)ようなキタイ編やらで、グイン主体の外伝らしい外伝は久方ぶり。
期待は高まります。
第一話は鏡合わせの魔の刻限のいたずらか、異世界に迷い込んだグインが遭遇する異形の怪異の話。
第二話は何者かの魔法によって愛妾ヴァルーサをさらわれ、それを追って謎めいた闇の世界に奥深く、グインがどんどんもぐりこんでゆく話。
第三話はついにグインに待望の嫡子が生まれようとする前日、その胎児が母体から忽然と消えうせる怪異とその意外な謎の正体。
どれも
外伝5「時の封土」あたりのいかにもなヒロイック・ファンタジーの雰囲気で嬉しくなります。
物語のタイプとしては第一話が楽しく、アイテムや舞台の趣向で言えば第二話、そしてキャラクターたちの面白さで言えば第三話と、それぞれ違った醍醐味が味わえるのも特徴。
安心して楽しめる短編集となっています。
また、本編へのドキドキな伏線を引いていたりして、あいかわらず意地の悪いことをしてくれますw
以下ネタバレ注意!続きを読む